(質権の内容) 【※ 本条解説へ移動する】
第342条
質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
民法 第二編 第九章 質権 条文一覧
以下、解説です。
【民法342条解説】
本項に定められている質権は、当事者間の契約によって成立する約定担保物権です。同じ約定担保物権である抵当権と異なり、質権の発生には占有が要件となっています。
【具体例】
自身が所有する宝石を質屋へ持っていき、宝石を担保として預ける代わりにお金を借りた。質屋は返済がされなかったため、預かった宝石を競売に出して債権を回収した。
【発生要件】
①担保となる物を引き渡し、債権者が占有していること(民法344条)
→必ず債権者である質権者が占有することが必要で、債務者である質権設定者に代理で占有させることはできません(民法345条)。
②債権が弁済期であること
→弁済期前に質権者に弁済として所有権を移転させるような契約をすることも禁止されています(民法349条)。
【効果】
債権を回収するために占有している物を競売にかけ、代金から優先弁済を受けることができます。
【目的物】
質権が、質物を担保とした債権回収を目的としていることから、担保となる物は、他人に譲り渡すことができる物を目的とする必要があります(民法343条)。
目的物は三種類あります。
①動産(民法352条)
動産が目的物の場合は、継続して質物を占有していなければなりません。
②不動産(民法356条)
不動産が目的の場合、動産質や権利質と異なり使用収益することができます。ただし、不動産管理費は質権者の負担になりますし、債務者に利息を請求することもできません(民法357条、358条)。
③財産権(民法362条1項)
債権や株式、地上権、特許権がこれに当たります。
2022年2月4日 ご執筆U様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)