民法 第1042条第1項


(遺留分の帰属及びその割合) ※ 本条解説へ移動する
第1042条第1項

 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

民法 第五編 第九章 遺留分 条文一覧
※ ご利用にあたって
当サイトでご提供する全コンテンツのご利用は、当サイト内(オンライン上(https://www.lawdoku.com/から始まるURL上))にのみに限らせていただきます。また、当サイト内のすべてのコンテンツにつきまして、ダウンロードやその他の方法による当サイト外への持ち出しは、理由のいかんを問わず固くお断りいたします。

以下、解説です。


【民法1042条1項解説】

1.遺留分とは
1042条から始まる9章は、遺留分についての規定です。遺留分とは、相続の際に法定相続人に認められる最低限保障される相続分のことを言います。

被相続人は、遺言によって法定相続人以外に遺産を相続させることもできます。その際、法定相続人に一切の財産を相続させない内容の遺言とすることも可能です。

この場合、兄弟姉妹以外の法定相続人は、遺留分を侵害する限度で金銭の支払いを請求できます。

遺留分の制度は、被相続人の財産処分の自由及び取引の安全と、相続人の生活の安定及び財産の公平な分配の調整を制度趣旨としています。

2.1042条の趣旨
1042条1項は、遺留分の権利者と、総体的遺留分との比率を定めた規定で、同条2項は、個別の遺留分の比率を定めた規定です。

3.遺留分の権利者
遺留分の権利があるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。つまり、配偶者、子、直系尊属には遺留分の権利が認められます。

被相続人が亡くなったときに胎児でも、生きて生まれてくれば子として遺留分の権利者となります(886条)。

被相続人が亡くなったときに既に子も亡くなっていたときは、子の代襲相続人が、子に代わって子と同じ割合の遺留分権利者となります(1042条2項901条)。

また、欠格や廃除で相続人としての権利を失った人や、相続放棄をした相続人には、遺留分も認められません。

4.遺留分の割合
…総体的遺留分(1042条2項
総体的遺留分とは、遺留分権利者全員分の遺留分のことです。

直系尊属のみが相続人である場合は、遺留分を算定するための財産の価格の3分の1が総体的遺留分となります。

たとえば、遺産の総額が6,000万円で、直系尊属のみが法定相続人のときには、
6,000万円×1/3=2,000万円
が総体的遺留分です。

それ以外の場合(配偶者と直系卑属、配偶者と直系尊属、配偶者のみ、直系卑属のみ)には、遺留分を算定するための財産の価格の2分の1が総体的遺留分となります。

…個別的遺留分(1042条2項
個別的遺留分とは、遺留分権利者が複数いる場合の各遺留分権利者の個別の遺留分割合のことです。

個別的遺留分は、総体的遺留分の割合に、各遺留分権利者の法定相続分の割合(900条901条)を乗じて算出します。

たとえば、相続人が配偶者と子3人の場合で遺産の総額が6,000万円の場合、
総体的遺留分は、6,000万円×1/2=3,000万円
配偶者の個別的遺留分は、3,000万円×1/2=1,500万円
子の個別的遺留分は、3,000万円×1/2×1/3=500万円
となります。

 

2023年7月20日 ご執筆T様
(※ 解説内容は、執筆当時の情報をもとにしております)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA